神経の王国 Whoever Controls Neurons Rules the World.

微小管

Posted 20190216

微小管は中空の管で、チューブリンというたんぱく質がらせん状のコイルを巻いた構造をしています。微小管が集まった中心体は、意識を生じさせる重要な部品と考えられています。チューブリンは弱導電性なので、コイル状の微小管はアンテナとして機能するうえ、微弱な電流を生めます。中心体に光を当てると電磁誘導によって神経の中で物質移動が起こります。光が神経伝達のエネルギー源なのです。微小管は神経伝達を行ううえでエネルギーを供給するために必須の部品というわけです。

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活動電位

Posted 20190216

活動電位とはスパイクやインパルスともいい、活動電位が生じることを発火と呼んだりします。活動電位は脳のさまざまな領域で日常的に起きていますが、その電位の波を脳全体で合成したものが、脳波といわれています。そもそも活動電位はイオンが移動することで生じます。ナトリウムイオンやカリウムイオンなどの陽イオン、塩化物イオンなどの陰イオンが、ニューロンのイオンチャネルから出入りするとき、電位が上がったり下がったりします。そのときにエネルギーを受けるなどして電位差の波が収縮したとき、活動電位となってニューロンを伝わります。

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光と眼球

Posted 20190216

光と眼球の関係はルネサンス期から画家の主題としても扱われてきました。レンズから受けた光を焦点で結ぶという構造は、顕微鏡やカメラに応用されてきました。眼球から受けた光を焦点から集める視神経は、光を脳に伝えます。朝に眼が光を浴びるとメラトニンができ、夜に緑の光を受けるとよく眠れるといった現象は、光が眼球からニューロンに伝わり全身にシグナルや分子が行き渡るとき、いくつかの波長で異なる信号を意味することが分かります。波長と神経の関係は、眼や脳や心の健康に重要な問題で、どうしてメラトニンができるのか、どうして緑の光はニューロンを休ませるのか、など分からないことが多くあるテーマであると思います。

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神経伝達

Posted 20190216

神経伝達は脳の病気にとって重要な要因です。神経伝達を担う分子は十数種見つかっていて、ほかに神経修飾や神経免疫を担う分子も知られています。物質がニューロンを移動し、次のニューロンに受け渡すことを繰り返すことで、その物質は脳を伝わるわけですが、物質ごとに脳は異なる反応をします。それらの反応はそれぞれ独自の感情を持ち、それを記憶または忘却させ、認知に影響を与え、快不快や好き嫌いによって社会的な意味づけを瞬時に変えてしまいます。神経伝達に異変が起きると、脳は病んでいきます。しかし、本来脳は病むもので、個性化・個別化に欠かせない現象なのです。現代社会ではメンタルを病むと表現されますが、近代から個性的な偉人たちは皆、脳を個別化する人生を選択しています。

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脳の形状

Posted 20190216

脳の形状は不思議と魅力的に映ります。管が頭蓋に折り畳まれ、畳まれ方も発生の段階でだいたい決まる一方、知能と脳の大きさに相関があるか疑わしいといわれています。脳の形状は3次元のチューリングパターンであることが知られています。光の干渉縞や動物の皮膚の模様、油滴や砂漠やオーロラなど、自然界にみられるこれらの形状は、チューリングパターンとして知られていますが、皮膚のしわや白子やクルミなど、3次元のパターンもあります。チューリングパターンの偏微分方程式から脳の形状を別の視点からみることができそうです。

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遺伝配列

Posted 20190216

遺伝配列はすべての細胞がもっていますが、ニューロンも例外ではありません。どうしてニューロンのような情報伝達ができるのか、どうやって知能や知性が創発されているか。ニューロンに遺伝的な個体差があるかどうかや、ニューロンでしかスイッチが入らない遺伝子がどのくらいあるかなど、結論が得られていない問題も多くあります。ニューロンを模倣してコンピューターを作るとき、ニューロンでどのようなたんぱく質がどのような役割を担ってメカニクスを操業しているかが判明すれば、コンピューターが異なる機構になっていくかもしれません。

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分裂と自閉

Posted 20190216

分裂と自閉には共通する特徴があります。脳の使い方が個性的なのです。脳は外から傷を受けることもあるし、脳の中だけで損傷を生じさせることもあります。一度傷がつくと、脳はその部分を集中的に補強しようと、伝達物質やグルタミン酸や免疫をその傷に向かって集めます。脳は元来平和なのですが、少しでも変わったことがあると穏やかではなく、ずっと傷口を覚えていて、十年以上かけて治そうともします。自分で負った傷は癒えにくいものであると、ある西欧の作家が云っていたのはこのことです。脳の中だけで傷をつけるには、認知上の操作や意識の増強など、電位をある程度操れる第三者がいることになります。脳も物理的に反応したり損傷しうるモノですから、自分で操作できるのも当然ですが、誰が脳を操作できるのか、考えるとよく分かりません。

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音楽効果

Posted 20190216

音楽を掛けて育てた野菜やキノコや豚肉は、グルタミン酸が多く生まれるのでおいしくなるといわれます。音楽は空間的な波ですから、イヤホンから聴いているとき、音楽は直接脳に空間的刺激を与えます。グルタミン酸は神経伝達を担う分子であるだけでなく、たんぱく質を構成する20種類のアミノ酸のひとつでもあるため、ニューロンの細胞組織やたんぱく質の材料でもあります。音楽を聞くとグルタミン酸が出る仕組みは、具体的には不明なところが多くありますが、空間的な波が脳でどのように受け取られるかは面白い問題だと思います。

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植物組織

Posted 20190216

植物組織には神経がありません。電位を伝達したりしないし、興奮も不安もありません。進化する中で神経を捨てた生物が植物だといってもいいでしょう。しかし、植物にも神経伝達物質はあります。微小管も、中心体もあります。細胞に神経の痕跡があるのです。神経は細胞器官を利用して機能を発達させたのですが、植物が利用した器官は動物と異なるところでした。植物はどうして興奮も不安も言語も捨てきれるほど、神経を発達させなかったのでしょうか。動物には考えられない進化です。いつもじっとしている植物に進化の話しを尋ねてみたいものです。

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